民話絵本『ごんごんごんぼ』(原画)

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【原文】

ごんごんごんぼ
しおがまの昔話「尾島のごんぼ」より

むかし、おじまちょうには、大きな池があって、オオガイやボラなどの魚がたくさんつれたということです。
この池の近くの神社には、ゴンと呼ばれる大きな古ぎつねが住んでいて、好物の魚を求めては、毎日のように池にやってきました。
ゴンは、よくいろいろなものに化けて、つり人をだましては、つれた魚を横取りするので、村人たちは、いつもくやしい思いをしていました。
ある冬の大そう寒い日のこと、池は雪まじりの強い北風のために、カチンカチンにこおっていました。
そこへゴンがやってきて
「今日はだあれもいねぇ。まず、こったに氷がはってでは魚がとれねえや。こまったな。なじょすっかなぁ。(※注)」と、いいながら考え始めました。

注:どうするか

「よしっ、おらのしっぽで氷ばとがしてあなっこあげてやっぺ。」
ゴンは、自分の太いしっぽで氷をたたいたりこすったりして、とうとうあなをあけることができました。
ゴンは得意そうに鼻を動かしながら、
太いしっぽをそろりそろりとあなの中にさしこんで、
魚をとっては食べ、とっては食べしていました。
そのうち、寒さがいちだんときびしくなって、氷のあながだんだん小さくなり、とうとうしっぽがぬけなくなってしまいました。
ゴンは、びっくりして、いっしょうけんめいしっぽをぬこうとしましたが、びっしりとはりつめた氷につかまって、どうしてもぬけません。
うんうんうなりながら目を白黒させているところに、池の番人がやってきて、ゴンを見つけました。
「あやぁ、氷の上さ大ぎつねがいるぞぉ。このやろうだな、毎日 池の魚ば食いあらしてだのは。なじょすっか見でろ。」
番人はかんかんにおこって、太い丸太ぼうを持って氷の上を走ってきました。
ゴンは、きもがつぶれるほどびっくりぎょうてんして、なんとかにげ出そうと大あばれ。
とうとうしっぽをあなの中に残したまま、いちもくさんに、にげていきました。
氷の上には、まるで「ごんぼ」(ゴボウ)のようなしっぽがにょきっと立っていました。
それから村人たちは、ゴンのことを“尾島のごんぼ”とよぶようになりました。
♪ごんごんごんぼ 尾島のごんぼ しっぽがなけりゃ つりできねぇ 今日は何に 化けなさる♪

作者・著者:小泉京子(こいずみ きょうこ)
年代:2002年
出版:塩竈市教育委員会・塩竈市民図書館
サイズ:297 x 430mm(表紙)/ 297 x 210mm(タイトル画)/ 297 x 420mm(各頁)
材質・形状:切絵